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多種多様に日々徒然 小言だったり小説一部だったり、 コメントはお好きにどうぞ
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たった一度の17歳

ヒロイン 『 紅條 遡羅 』
主 人 公 『 伊崎 結衣 』
同中男子 『 坂下 優希 』

 

 

本当は気づいていた。
知っていて無視していた。
だって知りたくなかったから。
知ってしまったら、気づいてしまったら。
私はきっとあの子を嫌いになれなくなる。
 

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[17歳の第一条件]
たった一度の17歳
いつもと違う風味で書いたのでワンクッション。
つーか単にヒロインの名前を入れただけ。
いつもだったら入れないんですけど、疲れたんで。名前入れないで文章成立させるの。
今回のはちょっとしたシリーズ物になる予定。
別の子視点。ちなみにらーぜが二年に進級した後の話。
[17歳の夏の日]
破られた物語の1ページ

「ただいまー、」
「「「「「「「おかえり」」」」」」」
「・・・・・・」
 
静かな我が家に帰宅を告げれば、予想よりも7倍の声が返ってきた。
 
茨姫は仰天する。
王子が剣を掲げて声を上げた。

 

「ごめん、泉、説明下さい。」
朝、鍵を掛けたはずの家の玄関の鍵が開いていた。明かりがついている時点で泉が来てるのは分かっていた。分かっていたからこそこの大量の人数に驚くというもの。何事、一体?
 
「あー、わりぃ。田島が飲み会やろーぜ、っていきなり。」
「あー、田島なら納得。」
「メールしても電話してもお前出ないし。」
「え、嘘!」
そういえばバイト先からずっと携帯切っぱなしだった、と慌ててポケットの携帯をつける。案の定、着信を知らせるメールと泉からのメール。あー、と声を上げる。
 
「アタシと泉の分しかないよ?食い物。」
「少しはつまみ買ってきたぜ?」
「足りるの?」
「・・・」
 
居間でやんややんやと盛り上がる元チームメイトを尻目に泉がため息。どうやら泉にも不本意な飲み会だったらしい。しかもこの雰囲気・・・
「泊まり、あり?」
「・・・ごめん、」
「・・・ご飯、どーしよ・・・」
「後で巣山達も来るぜ?バイト終わってから。」
「あー・・・・」

横目でちらりと彼らを見れば、花井と栄口が済まなそうに目線を逸らした。恐らく、『行く前に許可取れ』と言ってくれただろう二人。ありがとう、と感謝したくなった。
「田島ー!!カレーでいい?」
「おー!!カッレー!!」
「決定、みたいです。」
「買いもん?付いてくか?」
「んーん、泉は花井とあいつ等見張ってて。栄口。荷物持ち頼んでいー?」
「いーよー。」
「俺もいこーか?」
「花井は泉とあいつら見張ってて。特に田島と水谷と阿部。」
「・・・阿部も?」
「三橋のこと怒鳴り込んで近所迷惑は断固禁止。」
「へーい。」

 

 

「んじゃ、行ってきまーす。」
各々から回収した500円と自分の財布を持って、栄口と共に近所のスーパーに。「いつもごめんね。」と言う栄口にもう慣れたと返せば乾いた声が返ってくる。

「そーいえばしてたんだっけ?」
「んー?」
「同棲。」
「同棲って言っていいのか微妙だな。泉の家二軒隣だから。」
「あー、」
アタシが食材を選ぶ横で、栄口が渡した物をカートの中に入れていく。こういう泊まりありの買出しのとき、大抵は同じ手口で栄口と共に来るから癖になってるんだろう。二人とも。

「けど、高校んときよりは、泊まりに来る回数増えたね。泉。」
「やっぱり?」
「アタシも泉もバイトしてるけど、朝夕は同じ時間。」
「仲いーよね、相変わらず。」
「って、アタシのことはほっといて、栄口は?つーかあいつら彼女とかは?」
「無理無理。皆理想高すぎんだもん。」
「理想?」

 

 

「優秀なマネージャー二人も見てるからねぇ。女の子の最低基準がそこなわけですよ。」
「なーる。」
最後にカレーのルーを睨みながら栄口が「甘口がいーなー」と呟く。
「自分のことだって判ってる?」
「んー、別に?」
「・・・」
「だって、アタシは泉のもんだし、理想でも誰も手出さないでしょ?」

甘口と中辛のルーを選びながら、にっこり笑えば、栄口がはぁ、と溜息をつく。懐かしいねこのやり取りも。

「泉怒らせると怖いからなー。」
「彼女としては嬉しい限りだね。」
「結婚しないの?二人とも早そうだなって皆言ってるけど?」
「学生の分際でそれは無いね。アタシも泉も。」
「でも来年は卒業だし。」
「それもそーか。」
「・・・真面目に答える気、ある?」
「このやり取り何回やったっけ?」
「・・・・・・はぁ、」
栄口が深く溜息をついてカートを押す。

「仕方ないんだよ、栄口。」
「は?」
「だって、アタシ、泉だけなんだからさ。」
「・・・」
「アタシが好きなのも、愛せるのも、何もかも。この世の総て!!」
「泉、たった一人だけなんだよ。」

にっこり笑ったアタシを前に、栄口は顔を顰めたように
「俺、君のそーいうとこ、大嫌いだったんだよね。」
「知ってるよ。」
だからじゃん。去り際に呟いた言葉にそれもそーだと声を上げて笑い出した。


王子様は言いました。君の為にその城を覆う茨を取り除こう。
お姫様は言いました。余計なことをしないでちょうだい。と。

 

開幕のベルが鳴り響く 古びた映画館のスクリーン

物語に出てくる、騎士のようだ。今の泉の姿を見て、アタシはそう呟いた。
アタシの左手を取って、手首に、掌に、一本一本の指先にキスを落として、最後に手の甲に。姫様って柄じゃないんだけど、そう呟いたら泉はにかっと笑ってだよなーと笑った。


猟師は誓った
傷ついた人魚は自ら堕ちる
手を伸ばし、触れた先に一人の猟師

 

泉の部屋、いつものようにいつもどおり、部活が早く終わった日。大抵はこうして泉の部屋かアタシの家で二人揃ってのんびり過ごす。いつもよりも断然早い夕食の時間まで、何をするわけでもなく、何か話すわけでもなく、ただ各々過ごす。
今日、アタシは泉のベッドの上で寝転がって、泉はベッドに凭れ掛かったまま、目線はテレビ。兄が買ってきたゲームを無断で拝借しながら指先を滑らせるようにコントローラーを握る。その様子をじっと見ているアタシ。最初は良かった。初めて観る新作ゲームの内容をじっと見ているだけでそれなりに暇は潰せた。けれどイザストーリーが進みだすと在り来たりなシナリオに飽きてくる。しかし泉は一向にそれを止めるつもりは無いらしく、未だ目線はテレビ画面に噛り付く。暇なアタシは傍にある泉の髪を少し弄りながら時間を潰す。その行動が続いていた。
(暇、だなぁ。)
春より伸びた髪を少し三編みにしたり、解いたり。指に絡ませたり外したり。泉はくすぐったくないのかな、そんなことを思いながら、はぁ、小さく溜息を吐く。これじゃまるでゲームに嫉妬してる彼女みたいだ、と思って顔をベッドに埋める。ポフ、と肌触りのいい毛布に頬を擦り付けながら、目を閉じた。

「んな暇なら、さっさと言えばいーだろ?」
「・・・」
ククッ、と小さく笑いながら泉がコントローラを置いてアタシの顔の傍に肘をついて寄りかかる。目線だけ同じ位置にある泉の顔。ゲーム、いーの?少し突っぱねながら呟けば、内容判ったから飽きた。そういってゲーム機の電源を切った。次買うなら格闘かレーシング物がいーな。と呟きながらテレビの電源も切ってしまう。


「んで、何して欲しい?」
「・・・・・・台詞が悪役くさい。」
「なんだそれ、」
「別に・・・」
「拗ねんなって。」
薄っすらと開いていた目を今度はしっかりと閉じて、一拍置いてまたあける。泉に向かって手を伸ばせば何も言わずに受け取ってくれる。


「暇でした。構ってください、孝介さん。」
「畏まりました、皇女様。」


「やだなー、柄じゃないよ。」
泉はアタシの手を取って、寝転がったままのアタシを思いっきり引っ張った。体格が似てるとは言え、力は既に泉のほうが上だ。呆気なくアタシは泉の抱きかかえられる格好でベッドから降りていた。良く観れば胡坐を掻いた泉の膝の上に座ってる。
うわー、泉が男だー。愕いたふりをした言葉はボー読みだっつーの。呟かれた泉によって簡単に塞がれる。触れるだけのキス。昔からふざけてのマウストゥマウスはあったけど、いつもアタシの方から。イタリア生まれのイタリア育ちは伊達じゃなく、親しい人相手(この場合、家族を指す)のするこの手のキスはいつもアタシから泉にやって、泉は顔を真っ赤にして終わる。それが通常だったのに、うわぁ、やられた。

「卑怯でーす、孝介さん。」
「偶には俺の優勢もありだろ。」
「この人、純日本人じゃなーい。」
「外国育ちを幼馴染に持つと、これが日常なんですー。」
「つっても、マウストゥマウスは過去1回しかやってないはずなんですが?」
「2回やってんだろ。絶対。」
「え、いつ?」
「覚えてませーん。」
「うわーん、言い逃げ!!」

泉自身も初の試みは意外と恥ずかしかったらしく二人して変に顔を紅くした。あー、似合わねーっつーの。と呟いて泉はアタシの左手を取った。これなら慣れてんのになー、そう言ってアタシの手の平に自らの唇を寄せ、

チュッ、

恥ずかしい音を立ててにぃっと笑った。
「ぎゃー、恥ずかしい奴!!」
「しーらね。」
「何これ、なんだこれ、ダレだこいつ。お前誰!?孝介じゃない!?」
「ばーか、パニクんなっての。」
「今の阿部みたいないーかたイヤー!!」
「げ、」


一通り、言い争いに近い会話を続けた後、ぴたりと二人とも動きが止まる。
ハハ、お互いに壊顔した後、一斉に吹き出す。ありえねーとか、うわーとかそんな声。
「どーする孝介、なんか恋人っぽい。」
「カレカノ、っな。」
「甘い雰囲気だって、ぎゃーサブイボ。鳥肌でる!!」
「似合わねー。ゼッテー似合わねー!!」
「どーしよ孝介。」
「どーすっかな。」

 

「「付き合ってねーのに、俺(アタシ)等ってすっげーラブラブ!!」」

うわ、古い!!寒いってマジで!!今時使わないって!!死語だ死語!!
「「アハハハハハ、」」

お互い目の端に涙を浮べながら、アタシは泉に、泉はアタシに、離さないように手を掴みながら笑い合った。

好きな物は一番最初。

「赤と青だとどっち好き?」
「「赤」」

「白と黒だったら?」
「「黒」」

「じゃあ、夏と冬!!」
「「夏」」

「なんで?」
「「練習できるじゃん。」」


合わせ鏡の
一粒だけの苦労話

 

「なんで姉貴も孝兄もそっくり同じ答えが来るかなぁ、」
「なに、今更。」
「じゃあ、じゃあ、じゃあ!!」
「煩ぇって、」

「ソフトクリームはチョコ?バニラ?」
「「寧ろチョコチップバニラ。」」
「それ反則だろ!!!」
「煩いって、」


「・・・晩御飯なんだろ・・・」
「「カレーが食べたい。」」
「そこまで同じじゃなくたっていーじゃん。」
「甘口のカレーな。」
「え、辛口でしょ。」
「「・・・・・・」」


「甘口。」
「辛口。」

「甘いほーが美味ぇだろ!!」
「カレーなんだから辛口食べなよ!!喰えるんだからさ!!」

「(何、この雰囲気)じゃ、間取って中辛?」
「「中途半端!!」」

「(もーやだ、この二人・・・)」

一番の苦労人は弟君。

廃館前の映画館から招待状

夜中、唐突に眼が覚めた。まだ外は真っ暗だ。壁に掛けられら時計を、暗闇の中で見つけながら眼を凝らす。2時。まだ二時じゃないか。なんでこんなに中途半端な時間に眼を覚ますのか、

「・・・・・・」

アタシは2,3度目を瞬いて上半身を起こす。暑いのか、額に掻いた汗が頬を通って服に落ちた。はぁーと深く息を吐く。なんだ、これ。と掌を除き見た。
「(なんで、アタシ、・・・心臓、五月蝿い・・・)」
時計の秒針よりも二倍近く早く打つ心の鐘の音が、真っ暗な室内で聴こえた唯一の音だった。


「(なんなのさ、これ)」
ツゥー流れる汗を手の甲で拭いながら、12回目の深呼吸を終えた。

 

「寝れねーの?」
「っ、」
真隣から聴こえた聞き覚えのある声に身体が跳ねた。「ぇ、」小さな声を漏らして恐る恐る隣に顔を向ければ、心配そうに覗き込んでくる幼馴染の顔。ち、近い。

「どーした?」
「・・・・・・孝介・・・」
「(・・・)」
自分でも気がついていないうちに泉の名を呼んでいたらしい。顔を顰めた泉が、そっと手を伸ばして、顔に触れる。荒い呼吸を落ち着かせるようにゆっくりと顔の横になる前髪を撫でる。『大丈夫』まるでそう言ってるかのように。

「寝れない?」
「・・・・・ぅん」
ごめん、呟いた声は掻き消される。ポスッ、俯いた頭ごと、泉がアタシの頭を抱きかかえたからだ。
「・・・孝介?」
「手も握るか?」
「・・・うん。」
今度はアタシから、手を伸ばして泉の掌に重ねる。時間を置かずしてきつく握られる泉の掌。視界がぐにゃりと揺れて滲む。きつく眼を瞑って、泉から顔が見えないように。「顔、見せたくねーの?」ばればれだったらしいアタシの行動に泉がクッと小さく笑った。「うん、ごめん。」そう言ったら「ごめんはいらない。」そう言って背中をさすられる。


---小さい頃、小学生の低学年だったと思う。親交を深めて来いといって、強制的に泉の家に泊まらせられた時、アタシは今みたいに夜中に突然自らの呼吸の荒さに起きたことがある。原因は『夢』、たった一人しかいない幼い観客に見せるには、余りにも異質な『夢』そんなときも、泉は今と同じように傍に居てくれた。---

「今度は何だよ。」
「・・・馬鹿にされるから、言わない。」
ぎゅ、と手を握って、とにかく離れないようにぎゅぅと抱き締められて泉の体温が日溜りの日光みたいにぽかぽかと暖かくて、瞼は自然と堕ちていく。
「馬鹿になんて、しねーって。」
「・・・・・・」

 

 

 

「孝介が、傍に居ない日常。」

 

 

 

ぽつり、と呟いた声に、泉は悠々と20秒ほど間をおいて、

 

 

「ばーか、」
やっぱり馬鹿にしたように小さく笑った。そして意地の悪い顔を、アタシの眼に強制的に覗かせて
「ありえねぇーだろ。」
不敵に笑う。
泉の少し筋肉のついた両腕がきつくアタシの身体に回される。肩を抑え、腰に回して。必然的にアタシの耳元に泉の顔が来るように。呟かれた言葉に、涙が出た。吐かれる息に耳を擽られれながら、アタシは自分の腕でしっかりと泉に縋る。抱きつくというよりも縋るに近いこの体制のまま、アタシ達はゆっくりとベッドに沈む。

「寝れ、そう?」
「うん、」

 

額を合わせる様にお互い同じタイミングで眼を閉じた。

草原に取り残されたアリス
孤独を救ってくれた一匹のチャシュ猫
救いの無い恋をした

((どうか、君が主役の夢が、観れますように))

ⅩⅢのカードを持った占い師

「手に持ってる物。とりあえずどっかにやってくれるかなぁ、シノーカちゃん。」
普段は天使のようなこの子の笑顔。今回ばかりは悪魔に見えた。(寧ろ死神)両手に持ってるのは大きな鎌か。この昼下がりの真昼間から見るとは思わなかった、白昼夢。
後ろに逃げ場無し。扉は前。その前に最強マネージャー、の篠岡ちゃん。さて、どうするか・・・
「いや?」
「嫌デス。」
「どーしても?」
「っていーますか、なんでそんなもん持ってるかなぁ。」
「演劇部の友達から借りたんだよ。」
「素敵なお友達で。」
「(にこっ、)」
「(にっこり)」

女神様は微笑んだ、
手に茨の鞭を持って立っていた。

 

 

 

突然聞こえてきた騒音に俺達は真っ直ぐに扉の外に視線を走らせた。教室内も同様に目線は扉の外だ、騒音と言うより走りよってくる音。
「何?」
「なんだぁ?」
しかも近づいてくる。俺はあー、と呟いて「多分、」ペットボトルの中身を飲み干した。
「あいつ、だ「助けて!!!」・・・ほらな。」
教室内に必死の形相で駆け込んできた幼馴染。横で浜田と三橋が拍手しているのが見える。
「なになに!どーしたの!?」
「ちょ、かくまって!!つーか隠して!!」
「「「は?」」」
ひぃ、来た!!」
話が見えないうちに、あいつは素早く俺の後ろに隠れる。わけがわかんねぇ。

無視するだけの度胸は無かった

あいつは言った、
「泉以外の誰も、『大切』にしたくない」
俺の目を真っ直ぐ見て、そう告げた。

資格の無いヴァイオリニスト
(思ってもみなかった、)
(それが嬉しいということに)
(俺の心は歪んでいる)

(戻れないなら、進めばいい)

 

 


教室は騒然としたまま俺の幼馴染は、颯爽と自分の教室に帰っていった。「いずみぃ」田島や浜田が情けない声で俺の名を呼ぶ。「こ、こ、こわ、か、った・・・」最後は三橋まで巻き込んで身震いしてる。
「泉が怒るのもこぇーけど、あいつもマジこえー。冷戦だレイセン。」
「ひっさびさに見たな、あれ。」

呆然としている俺の後ろであれやこれやと好き勝手言い始める三人。
「(・・・くっそ・・・)」
怒ってた?んなわけねーだろ。あれは呆れてた。呆れてたつーより、諦めてた。何に?何を?決まってる、『俺』に、『俺』を。
(ざ、けんな。)
俺はそんなつもりで言ったんじゃなかった。ただ、あいつが笑っていられるならそれでいーと、
(俺が、言葉間違え、たんだよな?)
(あーくそ・・・)
あいつが俺に依存していたのは知っていた。何せ自分で言ってたくらいだ。俺もなんとなく分かってはいた、いたんだ。なんせ俺がそうだから。俺だってあいつが『居ない』ことに耐えられない。
『あの時、泣けなかったのはきっと泉が居たからだよ。』
『俺?』
『父が死んだ、母が死んだ、弟までも死んだ。それでも泣けない。寂しいのに泣けなかった。親不孝者だって思ったけど、違ったかな。初めて知ったのは泉に好きだっていわれたときだから。』
『///』
『きっとアタシは、ずっとずっと、“泉”を望んでたんだ。』
そう言って笑った。笑った顔は今でも忘れられない。馬鹿な奴。俺の良いたいこと、理解も悟ることもできるくせに、肝心の言葉を聴かないで諦めるなんて。ふざけるな。

なんどだって言ってやる。
指揮者を失った楽団の奏でるメロディ、聞けたものじゃないと誰もが呟いて立ち去った

罪深き愛を語る愚者
珍しく、ワンクッション、
以下、少し年齢制限あり、です。
ヒロインが少し狂ってるのでR12くらい?

こういうシチュは好き。
狂うのも狂わせるのも、リアリストもドリーマーも
皆一緒に壊れてしまえ


[NEXT]
チク、タク、 時計の音が遠くに聞こえる。

「何、してんの?」
振り返った先に見たのは、幼馴染の鬼の形相。目の前の男と共に、アタシは動くのを止めた。つーか止めさせられた。幼馴染になって10年来。さて、今までこんな形相の泉を見たことがあっただろうか。いや、ないな。・・・いや、似たような雰囲気を見たことはあった。確かあの時は、泉の兄と遊んでいたときだった。家に遊びに行ったら泉がいなくてそれじゃあと圭兄と遊んでるところに泉が帰ってきて、そうそのときだ。はっきり行って、あのときの泉と笑顔で対面していた圭兄を思わず尊敬した。
今そんな状況。目の前の男(名前はうろ覚え、確か伊藤・・・?)にあのときの圭兄の姿を思い浮かべるのは無理。さて、どうしよう。
そんなことを考えながら、とりあえず、腰に回ってる腕を強引にはがした。「あ、」とかやっとで声を出した、えっと鈴木(違う)から離れて泉と対峙した。


「何、してんの?」
「見たとおりだと想うけど。」
「・・・それ、意味分かって言ってんのか?」
「うん、たぶん。」

「俺から鞍替えする気にでもなった?」
バシッ――
気づいたらアタシより高い位置にある泉の顔を思いっきり殴っていた。ぐうで殴った指の付け根が痛い。泉の右ほほが赤くなってるのが見えた。
「なっ、」
「『何すんだよ』ですか?」
「・・・」
「巫山戯んな。」
アタシは何も言わずに立ち去った。後ろで泉が小さくした打ちする音がした。あー、と後悔してももう遅い。


(やっちまった・・・)
(あーあ、馬鹿だアタシ)
(こうなるとマジで長いんだよな)
(お互い意地張るから長引くんだよね。)
(・・・・・・)
(・・・・・・)

((絶対謝ってたまるか))
車両倉庫のブルートレイン

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