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廃館前の映画館から招待状

夜中、唐突に眼が覚めた。まだ外は真っ暗だ。壁に掛けられら時計を、暗闇の中で見つけながら眼を凝らす。2時。まだ二時じゃないか。なんでこんなに中途半端な時間に眼を覚ますのか、

「・・・・・・」

アタシは2,3度目を瞬いて上半身を起こす。暑いのか、額に掻いた汗が頬を通って服に落ちた。はぁーと深く息を吐く。なんだ、これ。と掌を除き見た。
「(なんで、アタシ、・・・心臓、五月蝿い・・・)」
時計の秒針よりも二倍近く早く打つ心の鐘の音が、真っ暗な室内で聴こえた唯一の音だった。


「(なんなのさ、これ)」
ツゥー流れる汗を手の甲で拭いながら、12回目の深呼吸を終えた。

 

「寝れねーの?」
「っ、」
真隣から聴こえた聞き覚えのある声に身体が跳ねた。「ぇ、」小さな声を漏らして恐る恐る隣に顔を向ければ、心配そうに覗き込んでくる幼馴染の顔。ち、近い。

「どーした?」
「・・・・・・孝介・・・」
「(・・・)」
自分でも気がついていないうちに泉の名を呼んでいたらしい。顔を顰めた泉が、そっと手を伸ばして、顔に触れる。荒い呼吸を落ち着かせるようにゆっくりと顔の横になる前髪を撫でる。『大丈夫』まるでそう言ってるかのように。

「寝れない?」
「・・・・・ぅん」
ごめん、呟いた声は掻き消される。ポスッ、俯いた頭ごと、泉がアタシの頭を抱きかかえたからだ。
「・・・孝介?」
「手も握るか?」
「・・・うん。」
今度はアタシから、手を伸ばして泉の掌に重ねる。時間を置かずしてきつく握られる泉の掌。視界がぐにゃりと揺れて滲む。きつく眼を瞑って、泉から顔が見えないように。「顔、見せたくねーの?」ばればれだったらしいアタシの行動に泉がクッと小さく笑った。「うん、ごめん。」そう言ったら「ごめんはいらない。」そう言って背中をさすられる。


---小さい頃、小学生の低学年だったと思う。親交を深めて来いといって、強制的に泉の家に泊まらせられた時、アタシは今みたいに夜中に突然自らの呼吸の荒さに起きたことがある。原因は『夢』、たった一人しかいない幼い観客に見せるには、余りにも異質な『夢』そんなときも、泉は今と同じように傍に居てくれた。---

「今度は何だよ。」
「・・・馬鹿にされるから、言わない。」
ぎゅ、と手を握って、とにかく離れないようにぎゅぅと抱き締められて泉の体温が日溜りの日光みたいにぽかぽかと暖かくて、瞼は自然と堕ちていく。
「馬鹿になんて、しねーって。」
「・・・・・・」

 

 

 

「孝介が、傍に居ない日常。」

 

 

 

ぽつり、と呟いた声に、泉は悠々と20秒ほど間をおいて、

 

 

「ばーか、」
やっぱり馬鹿にしたように小さく笑った。そして意地の悪い顔を、アタシの眼に強制的に覗かせて
「ありえねぇーだろ。」
不敵に笑う。
泉の少し筋肉のついた両腕がきつくアタシの身体に回される。肩を抑え、腰に回して。必然的にアタシの耳元に泉の顔が来るように。呟かれた言葉に、涙が出た。吐かれる息に耳を擽られれながら、アタシは自分の腕でしっかりと泉に縋る。抱きつくというよりも縋るに近いこの体制のまま、アタシ達はゆっくりとベッドに沈む。

「寝れ、そう?」
「うん、」

 

額を合わせる様にお互い同じタイミングで眼を閉じた。

草原に取り残されたアリス
孤独を救ってくれた一匹のチャシュ猫
救いの無い恋をした

((どうか、君が主役の夢が、観れますように))

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