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多種多様に日々徒然 小言だったり小説一部だったり、 コメントはお好きにどうぞ
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開幕のベルが鳴り響く 古びた映画館のスクリーン

物語に出てくる、騎士のようだ。今の泉の姿を見て、アタシはそう呟いた。
アタシの左手を取って、手首に、掌に、一本一本の指先にキスを落として、最後に手の甲に。姫様って柄じゃないんだけど、そう呟いたら泉はにかっと笑ってだよなーと笑った。


猟師は誓った
傷ついた人魚は自ら堕ちる
手を伸ばし、触れた先に一人の猟師

 

泉の部屋、いつものようにいつもどおり、部活が早く終わった日。大抵はこうして泉の部屋かアタシの家で二人揃ってのんびり過ごす。いつもよりも断然早い夕食の時間まで、何をするわけでもなく、何か話すわけでもなく、ただ各々過ごす。
今日、アタシは泉のベッドの上で寝転がって、泉はベッドに凭れ掛かったまま、目線はテレビ。兄が買ってきたゲームを無断で拝借しながら指先を滑らせるようにコントローラーを握る。その様子をじっと見ているアタシ。最初は良かった。初めて観る新作ゲームの内容をじっと見ているだけでそれなりに暇は潰せた。けれどイザストーリーが進みだすと在り来たりなシナリオに飽きてくる。しかし泉は一向にそれを止めるつもりは無いらしく、未だ目線はテレビ画面に噛り付く。暇なアタシは傍にある泉の髪を少し弄りながら時間を潰す。その行動が続いていた。
(暇、だなぁ。)
春より伸びた髪を少し三編みにしたり、解いたり。指に絡ませたり外したり。泉はくすぐったくないのかな、そんなことを思いながら、はぁ、小さく溜息を吐く。これじゃまるでゲームに嫉妬してる彼女みたいだ、と思って顔をベッドに埋める。ポフ、と肌触りのいい毛布に頬を擦り付けながら、目を閉じた。

「んな暇なら、さっさと言えばいーだろ?」
「・・・」
ククッ、と小さく笑いながら泉がコントローラを置いてアタシの顔の傍に肘をついて寄りかかる。目線だけ同じ位置にある泉の顔。ゲーム、いーの?少し突っぱねながら呟けば、内容判ったから飽きた。そういってゲーム機の電源を切った。次買うなら格闘かレーシング物がいーな。と呟きながらテレビの電源も切ってしまう。


「んで、何して欲しい?」
「・・・・・・台詞が悪役くさい。」
「なんだそれ、」
「別に・・・」
「拗ねんなって。」
薄っすらと開いていた目を今度はしっかりと閉じて、一拍置いてまたあける。泉に向かって手を伸ばせば何も言わずに受け取ってくれる。


「暇でした。構ってください、孝介さん。」
「畏まりました、皇女様。」


「やだなー、柄じゃないよ。」
泉はアタシの手を取って、寝転がったままのアタシを思いっきり引っ張った。体格が似てるとは言え、力は既に泉のほうが上だ。呆気なくアタシは泉の抱きかかえられる格好でベッドから降りていた。良く観れば胡坐を掻いた泉の膝の上に座ってる。
うわー、泉が男だー。愕いたふりをした言葉はボー読みだっつーの。呟かれた泉によって簡単に塞がれる。触れるだけのキス。昔からふざけてのマウストゥマウスはあったけど、いつもアタシの方から。イタリア生まれのイタリア育ちは伊達じゃなく、親しい人相手(この場合、家族を指す)のするこの手のキスはいつもアタシから泉にやって、泉は顔を真っ赤にして終わる。それが通常だったのに、うわぁ、やられた。

「卑怯でーす、孝介さん。」
「偶には俺の優勢もありだろ。」
「この人、純日本人じゃなーい。」
「外国育ちを幼馴染に持つと、これが日常なんですー。」
「つっても、マウストゥマウスは過去1回しかやってないはずなんですが?」
「2回やってんだろ。絶対。」
「え、いつ?」
「覚えてませーん。」
「うわーん、言い逃げ!!」

泉自身も初の試みは意外と恥ずかしかったらしく二人して変に顔を紅くした。あー、似合わねーっつーの。と呟いて泉はアタシの左手を取った。これなら慣れてんのになー、そう言ってアタシの手の平に自らの唇を寄せ、

チュッ、

恥ずかしい音を立ててにぃっと笑った。
「ぎゃー、恥ずかしい奴!!」
「しーらね。」
「何これ、なんだこれ、ダレだこいつ。お前誰!?孝介じゃない!?」
「ばーか、パニクんなっての。」
「今の阿部みたいないーかたイヤー!!」
「げ、」


一通り、言い争いに近い会話を続けた後、ぴたりと二人とも動きが止まる。
ハハ、お互いに壊顔した後、一斉に吹き出す。ありえねーとか、うわーとかそんな声。
「どーする孝介、なんか恋人っぽい。」
「カレカノ、っな。」
「甘い雰囲気だって、ぎゃーサブイボ。鳥肌でる!!」
「似合わねー。ゼッテー似合わねー!!」
「どーしよ孝介。」
「どーすっかな。」

 

「「付き合ってねーのに、俺(アタシ)等ってすっげーラブラブ!!」」

うわ、古い!!寒いってマジで!!今時使わないって!!死語だ死語!!
「「アハハハハハ、」」

お互い目の端に涙を浮べながら、アタシは泉に、泉はアタシに、離さないように手を掴みながら笑い合った。

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