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多種多様に日々徒然 小言だったり小説一部だったり、 コメントはお好きにどうぞ
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罪深き愛を語る愚者
珍しく、ワンクッション、
以下、少し年齢制限あり、です。
ヒロインが少し狂ってるのでR12くらい?

こういうシチュは好き。
狂うのも狂わせるのも、リアリストもドリーマーも
皆一緒に壊れてしまえ





「俺と野球、どっちが大切?」

泉がそういった。だからアタシは考える必要なんて無かった。「泉」そう笑って答えれば泉はなんだか苦しそうに次の言葉を続けた。
「じゃあ、俺の為に、野球、止められる、か?」
泉は言ってしまったと眼を見開いた。(あーあ、余計に可愛く見えるよ)なんてアタシが思った言葉は聞こえてない。
泉は試したがってる。うん、と答えて欲しいのか、それとも嫌だと答えて欲しいのか、流石にここまではわからないけど、

アタシの眼を罪悪感一杯の眼でじっと見る。少し視線を外せば冗談で済まされるのにそれをしなかったのは、恐怖があってもアタシの答えを聞きたいから。
馬鹿な泉。今更、何をそんなに欲しがってるの。


暫く視線をかみ合わせていたアタシ達。少し離れたところで三橋や田島、浜田がじっと気まずそうに(実際に気まずいのは浜田一人)こちらを見ていた。無言のまま1分2分、そこで漸くアタシは動く。
「浜田、カッター持ってるでしょ。貸して。」
「いや、貸してって、お前・・・」
「貸して。」

少し強気に言えば、浜田は素直にカッターを渡してくれた。
カチカチカチ、カッターの刃を思いっきり出して、右手に構える。左の掌を空中に広げて、狙いを定めてぴたりと止めた。泉がやっぱり眼を大きくして息を止めていた。浜田も横で青くなってるし、三橋なんて呼吸すら忘れてそうだ。田島も少し愕いてる。
10秒か15秒ほどまって、アタシは思いっきりカッターを振り下ろす。自分の掌に向かってだ。
「止めろ!!」
泉の声が動きを止めた。教室全体に響く大きな声。カッターの刃はアタシの掌5センチのところで止まっていた。良く止められたもんだ。
「お前、何してんのかわかってんのか!?」
「泉こそ、」
「・・・」
「浜田、ありがと。」刃を戻したカッターを浜田の掌に置いた。唖然としている浜田は素直にそれを受け取った。

「前に、言った、よ、ね?」
「、」
「アタシは、どうも泉に依存してるって。泉が止めろって言うなら野球だって止める。続けろって言うから、今も野球やってる。」
「い、じょーだろ、」
「知ってる。」
「俺は、そんなの望んでねぇ!!」
「知ってる。」

 


「それでも、アタシは泉を選ぶよ。」
「っ、」

 

チャイムのなる五分前、騒然としている教室内をすり抜けて、自分のクラスに戻るべく扉をくぐる。
「前、みたいに、『仲の良い幼馴染』とか、『普通の恋人』が良いなら言って?そうするから。時間は、貰うけど。」
「俺は・・・」
「今答えらんない、よね?だからいつでもいーから。」
クラスに、帰る。そう告げたアタシの足取りはいつもよりずっと重い。あーやっちゃった、と息を吐いた。言うつもりも、やるつもりもなかった。けど泉がまだ、あんなこと言うから。少しむかついた。あーショック、
「孝介のばーか」
きっとアタシは泉がいないと意味が無い。そこまで心酔して依存してる。そのことをきっと泉は知っている。知っているから、何も言えなかった。きっと『前』を要求されればそうすることを知っている。けど『前』に戻れないこともまた理解してるはずだ。そうなったらきっと、アタシは狂う。『前』戻りたいと望む泉と、『前』に戻りたくないと思う自分。きっとボロボロに壊れた『私』が完成する。泉はきっとそれを知っている。


観客のないチェロリスト
(ずるい、奴だぁ、アタシ)
(泉から、離れたら、きっとどうでもよくなる)
(そんなこと知ってるって泉は言うんだろうな)
(酷い奴、だぁ、)

「思ったこと、言わないと判らないかぁ、」
人の減った廊下をゆっくりと歩いた。

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