第一印象って、当てにならないね。
いきなり何を言い出すんだ、この男は。
騒がしい教室内が一瞬で静かになる。
まぁ、アタシ達のところだけだったんだけど。
嫌いだと言いながら
それでも笑い合って共に居る
「なに、いきなり?熱でもあんの?」
「無い無い。平熱だし、正常だよ。」
ああ、そう。何事と思いながらパックのジュースを一口。
栄口は時々、天然だと思う。なにが、どーと言うわけじゃないけれど、『綺麗だよね』と素で言ってくるあたり、田島や三橋とは又違った天然と言うか、寧ろあの二人より頭が言い分厄介と言うか。
「『外人だ』って思ったんだよね、初めてみたとき。」
「アタシのこと?」
「うん。」
「そーゆう差別、嫌いだからやったらぶっ飛ばすぞー。」
「うわ、恐ぇ」
渇いたような笑い声で、栄口はノートにペンを走らせる。英語の課題はまだ終わりそうに無い。
「まー、でも面と向かって『外人』って言われたのは二回目だなー。」
「え、誰?田島?」
「泉。」
「え、」
泉が?と呟いて栄口の手が止まる。『手、止まってるよ』と声をかければ、ああ!!と慌てた。昼休み終わるまであと10分弱。
「ちょっと信じらんないかも。だってずっと一緒だったんだろ?」
それこそ生まれた時から。そういう意味合いを含まれているのは知っていたけど、うんハズレ。
「残念、アタシと泉。小1の夏。」
「へー、じゃあ、どうだったの?」
「泉と、ってこと?」
「うん。」
「『うわ、外人』」
「へ?」
「って、呟かれた。しかもまん前で!!だからアタシも『女の子』って言ってやった。いやー、当時の泉少し髪長くてマジで可愛いのなんのって!!」
「ぶっ、 」
「今度、写真持ってくる。泉に内緒ね。」
「うっわ、すげー楽しみ!!」
きっと家にあるアルバムを漁れば出てくるであろう、昔の写真。久々に見直してみようかと思う。
「結局さ、その後、殴り合いの大喧嘩。初対面最悪。母親二人揃って大笑いしてるしね、弟はマジビビッて泣いてんの。いやー懐かしい。」
うわ、とか栄口が言ってるけど無視。本当に懐かしい最初の出会いだ。
母親に呼ばれて部屋から出てきた、泉と兄。青み掛かった大きな眼。実際始めてみたときは女の子だと思っていた。男と聞いて驚いたくらいだ。
「けど、泉って凄いね。」
「んー?」
「俺だったら、きっと会った瞬間に喧嘩できないよ。」
臆病だから、さ。少し苦い顔で笑いながら栄口は止まっていた手を進めた。
「アタシさー、」
「なに?」
「栄口のこと、苦手だわ。」
「ホント素直だよねー。」
そーいうとこ、羨ましいよね、ホント。笑った顔が、少し寂しい。それはどこか友人に似ていた。そーいうことですか、思い立ては答えは結構簡単で、この場合、喜ぶべきか、それとも悲しむべきか。
「アタシは泉のもんだよ?」
「知ってるよ。」
笑い合って泣きあって
親友だと思っていた君と僕は
背を向けて歩き出した
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